行く人来る人2010
2010年シーズンも残すところあと1試合。書いてない試合はまだたくさんありますが、それはそれとして来季の昇格内定チームも出揃い、当然ながら札幌は蚊帳の外。来年こそは札幌もその中に、などと意気込みたいところですが、チームを取り巻く状況は良くなるどころか悪くなる一方。袖スポンサーのニトリも今季いっぱいで契約を更新しない予定など、チームの強化費は今季の約4億5千万円からさらに減る見込みです。
ニトリの今季のスポンサー料は推定で5,000万円。とはいえ、本来であれば昨季いっぱいで契約は終了(推定2億円)するはずだったのが、それではあまりにもかわいそうということになったのかどうかはわかりませんけど、とにかく額こそ減ったものの期間延長となりました。つっても実質的にはスポンサー打ち切りの「執行猶予」とも言えるものですから、札幌としては今季いい成績を挙げ、ニトリだけでなく他のスポンサーにもお金を出してもらう価値を認めさせなければいけなかったはずなんですがね。19チーム中14位という成績では、ニトリを動かすどころか改めて降りる決意を固めさせるレベルです。
まぁそんなわけでスポンサーも減る、観客も減るとじり貧スパイラルに陥っている札幌の来季強化予算は3億円ほどになると言われており、これは2004年のトップチーム人件費とほぼ同額。2004年といえば、経営の健全化のために前年まで所属していたほとんどのベテラン選手との契約を更新せず、チームの大半が入団3年目以下の選手で占められるという極端な編成だった年です。
そして当時と同じように、チームから発表された契約満了選手はベテラン勢が中心となりました。DF吉弘充志、DF藤山竜仁、DF箕輪義信、MF砂川誠、MF李漢宰、DF堀田秀平の6名。箕輪や漢宰は怪我でほとんど試合に出られていなかったのでしかたないと言えばしかたないですね。特に箕輪は選手としての復活も難しい状態だったようですし。惜しむらくは、1度でいいからFW近藤と同じピッチに立って「わあ、コンサドーレの『ハリセンボン』だ!」などというネタを使わせて欲しかったところですが、改めて書くと思った以上に寒いネタだったので、やっぱり封印されたままのほうが良かったかも知れません。
砂さんと藤山は年齢的には高くても今季のパフォーマンスはまだまだやれると思いますけど、単純にサラリーの問題なんでしょうかね。吉弘も今の守備陣の状況を考えれば残してもいいと思うのですけどね。確かに今季大きな怪我をしてしまいましたし、復帰してからも危なっかしいプレイは多かったですけど、危なっかしいといえば怪我する前から割と危なっかしかったような気がするので、それが原因ではなさそうですが…。こちらもお給料絡みなんでしょうかね。
堀田は…ディフェンダーが壊滅的な今の状態で、今季でまだ入団3年目の選手を「切る」のは何かの事情があるのかも知れませんけど、それにしてもディフェンダーを育てられないチームですね。以前も同じようなことを書きましたが、過去センターバックとして新卒で入団した選手は、いずれも主力を担うに至りませんでした。生え抜き選手でDFのレギュラーを取ったのはソダンと今野くらいですが、もともとソダンはFWとして入団後にコンバート、今野もチーム事情でストッパーを勤めることが多かったですが、本職はボランチの選手。あとのレギュラー選手は皆よそのチームから途中加入してきた選手。藤山を見ててもわかりますが守備の選手は単純な身体能力よりも経験がものを言うポジションですから、ある程度完成された選手を獲得してきたほうが早いのはわかりますが…。2000年や2007年を除けば基本「堅守」とは程遠いチームにあっては、OJTの機会は多いはずなんですけどねぇ。もっとも、あまりにも激しすぎていわばいきなりクレーマーの対応をやらされるようなもんなのかも知れません。
まぁそんなわけで状況的には2004年に「逆戻り」と相成る予定の来季。もちろん3億未満の強化費でJ1昇格を果たしたチームだって過去あることはあるのですけど、札幌の2004年はJ1昇格どころか年間わずか5勝という異次元の弱さを発揮して最下位に終わった年ですからね。資金力の差がチーム力の差に直結しないとはいえ、お金の力はやはり強い。お金さえあればワールドカップだって誘致できるし、ルーピーだって総理大臣になれちゃったりするんですからね。もっとも、札幌の場合運営資金が20億くらいあっても強くなれるとは思えないのが哀しいところですが。
その最下位の年、経験の浅いチームの中で攻撃のほぼ全てを任され、死にそうになっていたのが退団する砂さんでした。その後ろでワンボランチで死にそうになっていたタバタンもすでにいません。新潟市陸で相手を翻弄したドリブル、前橋でのオーバーヘッドゴール、柏サッカー場での恩返しミドルシュートなどなど、鳥栖スタジアムでの芸術的なボレーシュートなど、砂さんのスーパープレイは数え上げればきりがありません。そして何よりも、フリーキックの壁当てからエビ反りのコンボは、既に伝統芸の域に達していました。今まで本当にありがとうございました。
「来る(かもしれない)人」についてはまた次回以降に。