鈴木武蔵、日本代表になる

今週末の第4節が終わると国際Aマッチデーに突入し、各国で代表チーム同士の親善試合が行われます。北海道コンサドーレ札幌からはGKクソンユンが韓国で行われる親善試合の韓国代表に、MFチャナティップも中国で行われるチャイナカップに出場するタイ代表メンバーに選ばれています。

タイ代表の中でも主力中の主力であるチャナティップは当然として、ソンユンは2015年のEAFF東アジアカップ以来の代表入り。この時は試合出場はありませんでしたが、最近のパフォーマンスならば代表でも正GKのポジションを掴むことは難しくないはずです。

そんなうれしいニュースの一方で、やはり国際Aマッチデーを利用してキリンチャレンジカップを戦う日本代表には相変わらず縁がないんだろうな…と思っていたら、何とびっくり、FW鈴木武蔵が初選出されました。

札幌はこれまで世代別代表には何人もの選手が呼ばれてきましたが、フル代表に札幌の選手が選ばれるのは、1999年、パラグアイで行われた南米選手権に招待参加した日本代表に選出された吉原宏太以来(1試合に出場)、実に20年ぶりとなります。

もっとも、その吉原にしても、現地での練習中にFW中山雅史(当時ジュビロ磐田)が負傷離脱して急遽メンバーが足りなくなったこと、当時の代表監督は五輪代表監督も兼任していたフィリップ・トルシエ監督だったこと、その五輪代表として一躍脚光を浴び、同時期に行われていた五輪代表合宿に吉原も参加していたこと、Jリーグが中断期間中だったため、他の代表経験者を呼びにくい状況だったことなど、あらゆるラッキーが重なった、言葉は悪いですが「棚ぼたの」日本代表でした。

もちろん、棚ぼただろうが何だろうがれっきとした代表であり、その重みは変わらないことは十分我々も承知しているのですが、それ以降、棚ぼたですら呼ばれることもないまま20年が過ぎました。

その間、多少の欲目はあるにしても、親善試合とかのお試し招集くらいなら呼んだっていいんじゃないの、という程度には力のある選手はいる、あるいはいたし、その選手も札幌から移籍した途端に代表選出されるという乾いた笑いしか出ない現象を目の当たりにするのも一度や二度ではなく、最終的には「きみはいい選手だったが、きみのチームがいけないのだよ」ということなのだろうと達観してしまっていました。

有力な選手が「代表に選ばれたいから」と、より上のレベルでの戦いを求めて移籍していくのを、涙を呑んで見守るしかなかった日々は、去年4位になっても変わらないのだろうと思っていました。

それがですよ。北海道コンサドーレ札幌の所属選手が、「ちゃんと最初から呼ばれたメンバー」として日本代表に名を連ねる。吉原宏太はもう20年前の話ですし、あのパラグアイでの試合が最初で最後の代表キャップだったので、多くの人にとってはまさしく「まだ見たことのない景色」が見られるということですね。まぁ、吉原宏太を追いかけて急遽地球の裏側まで行った剛の者もいましたけど。

もちろん今の鈴木武蔵があるのは長崎でのブレイクがあってこそなのであり、武蔵を札幌に送り出す長崎サポーターの気持ちも、今までの我々と同じものだったに違いなのですが。だから長崎には何も言いませんよ。

なお、我々はとてもひねくれているので、「呼んでおいて使わない」という可能性も充分考慮した上で、もしそうなったら反町監督にレンズのないメガネをプレゼントしたいと思います(まだ忘れてない)。